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【利根川・最源流部(コツナギ沢)】 (6月) 群馬県・北部

対象魚 イワナ・ヤマメ・ワカサギ・コイ・フナ  注)管轄全水域を指す
釣果程度 ☆☆☆
混雑程度
サイズ ☆☆☆
放流実績 ヤマメ・10,000尾(26Kg)
総合評価 ☆☆☆☆
解禁期間 3月1日〜9月20日
入漁料 日釣券(前売り)・¥1,000-/日釣券(現場売り)・¥1,500-/年券・¥6825-
備考 総称”奥利根”と呼ばれるこの地域は、標高1500m〜2000mの群馬・新潟県境の山岳地帯を指す。
このページでは、関東平野を流れる日本で2番目に長い利根川の最源流部のその更に上流、八木沢ダム(奥利根湖)・バックウォーター以遠のご紹介だ。
参考 天候及びフィールド状況 → 両日共に曇り、雨
                  早朝の釣行時、気温12℃、水温5℃
                  ハッチ無し

使用タックル →        ロッド・#2 SAGE SPL282
                  ライン・#2(SAGE専用ライン)
                  リーダー・クライマックス6X
                  ティペット・アムコア6X
                  使用フライ・#12アダムスパラシュート

その昔水上以遠は”藤原”と呼ばれ、当時を物語る藤原地図では現在市販されている国土地理院発行の地図と、地名や川の呼び名にかなりの違いが見られる為、 ここでは権威有る国土地理院の地図を参考にさせて頂く事にする。

矢木沢ダム(奥利根湖)は、灌漑・発電・飲料を目的として昭和42年に完成した。総貯水容量2億430万立方メートル、集水面積167.4万平方キロメートル、東西に開けた 尾根を利用してせき止められ、V字を形成した東京都・群馬県の水瓶である。その尾根からは無数の渓が流れ込み、年間降水量1800mm〜2200mmのうち、大半は冬季降雪によるもので、 いかに雪が多く水が豊富な地域かが伺える。
今回ご紹介するコツナギ沢も、そんな水質の素晴らしい渓の1つだ。
ここで1点注意する事として、ダム湖に注ぐ渓への移動手段は船舶を利用する以外に方法が無い事。普通に湖を連想すると、湖畔には道路が付けられ容易にポイントへの移動が 可能だが、ここの場合、昨今にしては珍しくダムサイトから先には道路が付けられていない。水面から眺める山肌は傾斜がきつく、水中に向かって突き刺さる感じ。よって、 徒歩での移動はほぼ不可能に近い。自家用ボートを所有されてない方で、どうしても現地まで行きたい場合、地元のフィッシングガイドを頼る事も可能。
この日我々は2艇のカヌーを利用して目的地に到達した。片道の所要時間はダムサイトから約2時間かけたが、寄り道せずに漕いだ場合、約40〜50分を見ておけば到着 出来る距離だろう。

ここを訪れる度に関心させられる事がる。ゴミが全く落ちてないのだ。誤解しないで頂きたいのは、決して我々キャンパーのモラルが良い訳では無く、ここ矢木沢を愛する 雄志メンバーが集まり結成された”矢木沢会”の面々が、ゴミの管理、魚の放流、植林を逐次行っている為。そんな陰でこの自然を支えている方々がいる事を念頭に置き、 道徳有る行動をとりたい。


入渓したコツナギ沢に限らず付近の渓は、雪代の影響でドードーと流れるその水の多いこと冷たいこと...
果たしてこんな状況に、期待する程の釣果が得られるのかと不安になったが、意外な事に結果はドライフライにちゃんと反応を示してくれた為、イワナ・ヤマメが7尾と そこそこの結果を残す事が出来た。


「キャンプサイトからコツナギ沢出会いを望む」

時は6月10日(土)、この度の釣行は、職場の仲間と「1泊2日・奥利根キャンプ」の催しで、どさくさに紛れて釣りもしちゃおーって魂胆。3年ぶりの訪問となる今回、釣果への期待・ 今宵の宴を考えると山梨から片道4時間半・300Kmの行程は決して遠い距離ではなかった。
キャンプ地に選んだのは、奥利根湖のバックウォーター西側に位置するコツナギ沢・白ビ沢の出会い。ここは毎年キャンプシーズンになると、沢山のトローリング・フィッシャーで 賑わう人気スポットだ。当日も6〜7グループの野営で賑わい、夜遅くまで暗闇に歓声が響いた。
「遡行15分地点の渓相」

確か、以前訪れた時には両方の渓が接近していたハズだが「はて、前の流れは何処へ行ったかな?」
見ると、渓が100mほども移動してしまっているではないか。
ご覧の通り、小ミズナラの木々が一面を覆い、クネクネと曲がって生えている状況に、改めてここ奥利根が豪雪地帯である事を実感する。
それを裏付けるもう1つがこの写真。正面に白く映る山が、三ツ石山と小沢岳。いずれも2000mに満たない標高しかないのに、6月にこの残雪とは緯度の関係だろうか?
「遡行30分地点の渓相」

これだけ流速が有ると、なによりドライを打ち込むのに苦労する。もっぱら狙うポイントは脇
の淀みか岩裏の陰ばかり...(左上に映るのが未だ解けきらぬ雪)
こいつは、そんな苦労の末にやっと獲った1尾。こっちを睨むなっ!
思った通り、直接流れの影響を受けない淀みに定位していた。
それにしても、この湖に注ぐ渓で釣れるイワナは何故か体色が薄く白っぽいのが特徴の様だ。一瞬、ハヤが釣れたのかとギクッとさせられる。
「遡行50分地点の渓相」

相変わらずの流れに苦戦を強いられ小1時間が経とうとした頃、この辺りは山菜の宝庫である事に気づく。ひときわ目に映る種が"山ウド"と"コゴミ"、"ミズナ"に"山ブキ"で、目が慣れてくるとイヤになる程の群落に終始唖然。
左写真は山ウドと山ブキ、右写真はコシアブラ(ウルシにそっくりだが茎の色で判断出来る)。ただし、この手の食材は、こんなロケーションに包まれて食うから上手く感じるのであって、自宅に持ち帰って食卓に並べたところで上手くもなんともない。(^^;
「遡行1時間半地点の渓相」

源流に位置する渓にも関わらず、流れ込みから上流4〜5Km先まで、ご覧の通りフラットな地形が続く。
下界が真夏の渇水期に突入する8月頃、この渓は流れも落ち着き、釣り易いポイントが現れる事となる。
このダム湖以遠に限っては、コツナギ沢の他、数カ所有るキャンプサイト(奈良沢出会い、幽の沢出会い等)から攻められる主な渓も大体は傾斜が緩やかなので、 キツイ高巻きを強いられる事はほとんど無い。(水源に近い源流部は除く)
「遡行2時間地点の渓相」
「釣れてるかぁ〜!!!」 早朝、しかもこんな山奥に人が入山しているとは思いも寄らなかったので、横から声をかけられた時はビビって死ぬかと思った。見ればそのおじさん達は、山菜取りの最中だった様だ。 「そのザックにぶら下げてるのはクマ避けのスズですよね?この付近はクマいっぱい居るんですか?」「おう居るさ、今年、下の湖でも泳いでたの2回見たわ、今の時期は山に食いもんいっぱい有るからいいけど、子っこ連れには合わない様にきーつけた方がいいな」特に今朝の様に霧が出てる時は活動的なんだそうな。渓の奥深くまで熱心に通い詰める地元山菜取りのオヤジさん達は、背負っているザックからはみ出す程に詰め込まれた山菜からも、この土地の事情に詳しい事が伺える。彼らには余計な事を伝えるのは止めよう。折角ここまで来たのに怖いからもー帰るとか言われても困るし。
「遡行2時間半地点の渓相」

さて、ベースキャンプの面々もそろそろ起きる時間かな?
余り遅く戻って、朝飯待ってましたってな事になっても気の毒なので、この時点で下山する事にした。
って、戻ってみると起きてるのはコック長の久美子さんだけで、その旦那ときたらシュラフからわずかに出した鼻と目だけの異様な光景に慌ててテントを閉めた。

昨晩の酒だな、こりゃみんな当分爆睡だわ...