北海道えりも周辺(2017年06月21日〜29日)
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6月22日(2日目)
【シトマン川のヤマメ】
5時起床。
昨日の夜は、問題居酒屋からとっとと場所を変えて、違う店で飲み直したりなんかして、部屋に戻ったのは12時過ぎだった。 その時は翌日がこんな天候になるなど考えもしなかった。今朝は辺り一面「濃霧」プラス「大雨」。 2軒目の店のお客さんと仲良くなっていろんな話をした時に、北海道には "えぞ梅雨" と言われる雨の続く期間があるそうな…そんな話を聞いた。んなら北海道にも梅雨あるって事じゃんね。

身支度を整えて、午前8時に宿を出発。
途中セイコーマートに寄り、去年の釣行でハマった "ホカホカおむすび" を朝メシ用と昼メシ用にいくつか買い込む。
バシバシとフロントガラスに当たる大粒の雨音が、あの時の記憶を思い起こさせる。
13年前、土砂降りの中、林道を歩いている時に2頭の子連れグマに至近距離で出くわし、危うく命拾いした事がある。ちょうど今頃の時期で、こんな感じの強い雨が降り続いている時の出来事だった。 脇を流れる川はドードーとうなりを上げ、辺り一帯が騒がしい雨音に巻き込まれている状況で、事前にクマの存在を察する事が出来なかった。
この雨は気持ちをすさませるなぁ…
しばらく走り日高山脈の峠を越えると、前方の雨雲の先がくっきりと晴れている。百人浜の方角だ。どうやら雨雲に包まれているのは、日高山系の西側だけの様である。
海岸線に出ると、そこかしこで拾い昆布漁の真っ最中だった。今の禁漁の時期は沖に出られないため、打ち寄せられるコンブを集め、クレーンのついたトラックで波打ち際から上の道路脇まで引っ張り上げるのだ。 引き寄せるために海面を漂うコンブ塊めがけて投げるフックロープが、腕に絡まって時々溺れる事故が発生するのだと聞いた。大変な仕事である。

全長約5kmの長いトンネルを抜けると、すぐ目の前に広がるのが目黒漁村。
ここに流れ込む川が猿留川(さるるがわ)といい、秋にはたくさんの鮭が遡る事でも知られる。東太平洋岸に注ぎ込む河川の中では比較的規模の大きな川で、当方のお気に入りの川の1つである。

海岸線から左に折れて、はやる気持ちを抑えつつクルマを山の奥へ進めると、左手にとうとうと流れる澄んだ猿留の本筋が見えてくる。毎回この光景が目に入る度に、今回もこの流れは健在だったとホッと胸をなで下ろす。 特に温暖化の影響と言われる豪雨が場所を選ばず発生する昨今、川に対する心配は尽きない。
豊似湖へ続く林道の途中の分岐を左に入り、猿留山道橋のたもとにクルマを停める。この橋の脇から川岸に降りるのだが、周りの背丈以上もあるクマザサが気色悪くて一発爆竹を鳴らす。
本ページの冒頭で触れた親子クマとの遭遇はこの少し上流だ。それを思い出すと更に気色が悪くなり、川岸で更に三発の爆竹を鳴らす。

この日のここでの釣りの為に持って来たタックルは、SAGE MOD 290-4。ハーディーのウルトラライト2000 に3番ラインを巻いて、リーダーは5x。結んだティペットはフロロの5.5xを1m強。 普段トリプルゼロのロッドに8xを好んで使うワタシにとっては、こんな大がかりなタックルの出番はそうそう無く、2番9フィートのロッドが重く長く感じられて仕方無い。違和感バリバリである。
さぁこい!これなら40cm以上がヒットしても余裕だ!!!

少々いさみみ足気味ではあるが、高鳴る胸を押さえつつ釣り上がりを開始。だが、いつまで経っても不思議な事に全く反応が無い…ただの1度も反応が無いのである…どうしちゃったんだろう…
フライもいろんなパターンを取っ替え引っ換え。サイズも変えて悪戦苦闘するが…釣れない。
1時間程釣り上がってだんだん集中力を切らしてくる。さらに30分ほど釣り上がるが、相変わらず何の反応も無い状態が続いたので意気消沈して納竿。ダメだこりゃ…しょげかえりながらクルマに戻る。 去年はそこらじゅうのポイントから面白いように飛び出してきたのに、こんな変わりようってあるだろうか…

去年、尺上のヤマメを立て続けにヒットさせた猿留川支流の登川に場所を変えたが、こっちも同じく全く反応が無い。魚のいない川に変貌してしまったのか…
虚無感を残して、隣漁村の庶野へ移動。
ここを流れるシトマン川には、溢れかえる程の魚が生息しており、特にニジマスとヤマメの混雑種が数多く釣れて気持ち悪がった場所である。が、もうそんな事言ってられない!この際なんでもいいから釣果を上げなきゃ…

焦り半分、使い慣れたトリプルゼロのロッドに持ち替えて、玉砂利のだだっ広いコンブの干し場脇から一旦砂浜に出る。海岸の流れ込みから釣り上がるのだ。
波打ち際の少し上辺りからいきなり釣れ出す。全て13〜14cm程度の小さなエゾイワナばっかりであるが、釣果をあげた事で気をよくする。相変わらずこの川は凄いねぇ… 川をまたぐ国道の橋を越えた辺りから、去年同様にニジマスとヤマメの混雑種が釣れ出す。やっぱり何度釣っても気持ちの悪い魚だ。
暫く釣り上がると巨大な砂防ダムに阻まれたので、ここで本日の釣りを終了。明日はこのダムの上流を釣ってみよう。
庶野小学校の前で着替えていると、後ろから「釣れましたか?」と声を掛けられる。地元のコンブ漁師さんだった。
どこから来たのか?とか、どんな仕事しているのか?とか、釣りの事はもちろんだけど、オレの家族の事までいろいろ聞かれたりして、結構入り込んでくるなぁとは思ったが、 感じの良さそうな人だったのでイヤな気はしなかった。

突然、2ヶ月くらいコンブ漁のアルバイトをしないか?と誘われる。いやいや勤め人だと言ってるハズなんだけど…
何度かそう伝えたのだが、決してひるむ様子が無い。自分の娘が横浜の保土ケ谷に住んでいて、隣の区に住んでいるオレとはきっと何かの縁だとまで。 どうやら会話の中で「パソコンとネットがあれば自分の仕事は成り立つのだ」と言ったもんだから、食い付いて来ちゃったみたい。
ぜんぜん人手が足りず、7月からの解禁にどう対応しようかとアタマを抱えているらしかった。 でもさ、気持ちは分かるけどそりゃ無理だよ…学生の夏休みじゃないもん…
アルバイトを断った事で気分を害しちゃったかなぁくらいに思っていたんだけど、「ちょっと待ってろ」と言われてその場にいると、ご自宅から持って来た大量のツブ貝を差し出された。 宿に持ち帰って食べろと言う。恐縮しまくったが、ご厚意なので頂戴した。

宿に帰ってシャワーを浴びたあと、晩メシを食いに外に出る。今日は寿司屋にでも行ってみっかし。

その晩、泊まっている部屋で不思議な事が起こった………
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