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【湯川・下流部】 7月 山梨県・西部

対象魚 ヤマメ(アマゴ)/イワナ
釣果程度 ☆☆☆
混雑程度
サイズ ☆☆☆
放流実績 不明
総合評価 ☆☆☆
解禁期間 3月16日〜9月30日
入漁料 日釣券(前売り)・¥1,000-/日釣券(現場売り)・¥2,000-/
年券・¥4,000-
備考  
参考 天候及びフィールド状況 → 午前5時入渓時点で雨・無風
                  気温24℃、水温12℃
                  ハッチ無し

使用タックル →        ロッド・#3 SAGE LL366
                  ライン・#3
                  リーダー・クライマックス5X
                  ティペット・クライマックス5X
                  使用フライ・#11のアダムスパラシュート

7月8日、午前4時半。
局所的に降ったり止んだりする雨と、低く厚く覆う雨雲を見上げれば、こんな天候の中、標高の高い山岳渓流を攻めるのは自殺行為に他ならなかった。そんな訳で、悔しいけれど本日の ヤマトイワナ探索は無理と判断。
いくら天候が悪いといっても、下流を探る程度の釣りくらいはしてから帰りたい。
「はて?何処へ行くべえか?!」地図を読みながら行き先を考えていると、西山温泉脇に流れ込む”湯川”が目に留まった。「よし、今日は久しぶりに湯川へ入ろう」

西山温泉に少し触れておくと、太古に遡ること奈良時代、奈良田に遷移された46代・孝謙天皇が入湯した記録があるらしく、戦国の世、近くに有った金鉱に出入りしていた武田信玄も この湯に浸かった(ほんとかどーかは知らないけど)と言い伝えられ、とにかくその歴史は古い。にしても、当時こんなに険しく山深いこの地まで、どうやって道を通したのだろうか?
伝説の真偽はともかく、釣りの話に戻すと、この渓もご多分に漏れず、フォッサマグナが作り出した他の渓と同じく起伏に富み、いきなり最初から連瀑帯に突入するが、釣り上がりに難儀 する程の渓では無い。
湯川の特徴としてあげられるのは、昼間でも暗く重たい空気が漂っていて、水質が何時もさざ濁り状態な事。
釣りが可能な区間としては、早川本流との出会いから上流に聳える通らずの滝までの約1〜2Kmの行程だ。出会いから連瀑帯をクリアーしても、暫くはアマゴの釣果が続く。その後、 徐々にイワナが混ざる様になり、通らず手前数百メートル辺りからはイワナのみの釣果となる。
通らずの滝と表現した落差は、3〜5メートル程だろうか。通常では大した事の無い高さでも、V字帯に阻まれた中を落ちる数メートルは、なかなか高巻きを許してはくれない。
そしてここは、マムシの宝庫である事も付け加えておいた方が良さそうだ。金の無かった学生時代なら毎週捕まえに来てたゾ。
そんな訳なので、決して半袖半ズボン等の軽装で入渓する事の無い様に。

西山温泉から上流を望む

大正ロマンを感じさせる温泉旅館から山を見上げれば、どんよりとした雲が立ちこめ、今にも泣き出しそうな気配。

曇天の中、いざ出発。
西山温泉脇の渓相

なんか、いっつも濁っていて、清流とは呼びたくない流れだ。
とは言っても、生活雑排水が流れ出しているって意味では無くて、単に透明度が悪いって表現したいだけなんだけど...
遙か上流は、山岳渓流に相応しいきれいな流れだったから、何処で濁るのか知りたい。
遡行5分後の渓相

いきなりこうなる。
温泉郷から一気に高度を上げる流程なので、この辺りが一番きついところだが、そう長く続く連瀑では無いので、一旦納竿し傾斜が緩やかになる地点まで登り切ってしまおう。
連瀑の途中で竿を出しちゃう

落ち込みのしら泡から、度重なる反応が...
これらは、ワタシのでぇっキレーなアマゴのものだ。こいつら流されないでまだ居たのか...
それにしても、こんな環境下に於いてもアマゴの稚魚が育っているから驚く。
ぃゃ、呆れるに表現を変えよう。
連瀑を越えてもまた連瀑(^^;

高度を稼ぐと上はこうなっている。
傾斜が緩やかになるので、そうそう転げ落ちる事は無いだろうが、それでも数メートルの落ち込みが続く。
この辺りから、アマゴの釣果に混ざってイワナが釣れ出す様になる。
始めの吊り橋

昔、観光客用に作られたらしい遊歩道のなごりが、湯川の脇に寄り添って続いているが、あくまでも”なごり”なので念のため。
巻きが難しい落差については、仕方がないので獣道と化した遊歩道跡を利用する事になるのだが、困ったことにV字帯の切れ込みに吊り橋が架けられているのだ。
これがまた朽ち果てていて、なんともまぁ...
2つ目の吊り橋

前述した始めの吊り橋は、朽ちかけているとは言え、まだふつうに渡れるからいーのだ。
問題は、こっちの橋。
片側に周りの木々が覆い被さり、先が見えない状態で、去年もビビッて渡ったけど無事だった。
果たして今年は無事に渡りきれるのやら...
ゲロゲロ、ワイヤーが切れとる...

とってもトレビアン。
理由は無いけれど、”通らずの滝”まで行かなければ気が済まないので、取りあえず進む事にする。
抜き足差し足忍び足...ギシギシギシ...ばきっ...
無事に渡り切り、安堵で胸を撫で下ろしたけれど、考えてみりゃ帰りも通んなきゃダメなんぢゃん。
通らずの滝

そうこうしながら釣り上がって行くと、こんな光景に。
出くわした滝が”通らず”と呼ぶ滝だ。軽装で詰められるのはここまで。
手前の橋桁は昔の展望台。
度重なる落石と風化が、得体の知れない不気味な雰囲気を醸し出す。
通らずの滝

巻けそうで巻けない、一番歯がゆいタイプの滝。
でもハーケンを打てば一発クリアーなんだけどね。
去年も幾度となく準備しようかと考えたが、おそらくこの先に幾つも立ち塞がっているで有ろう連瀑を思えば無駄な労力に感じられて、今までこの上流を、渓伝いに通しで詰めた経験は無い。