北海道えりも周辺(2017年06月21日〜29日)
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6月23日(3日目)
【咲梅川(さくばいがわ)のアメマス】
一昨日から世話になっているこの宿は、日当たりが良く開放感があり、居心地が良さそうな印象だった。 ただ、人が歩くと階段も廊下もギシギシと大きな踏み音を発する事がいただけなかった。 夜遅くに廊下を歩いて他の部屋に迷惑を掛けるのもイヤだったし、逆に他の人が歩く時の音も耳についてイヤだった。

晩メシを食いに近くの寿司屋に出掛け、部屋に戻って来たのは午前0時を少しまわった頃。
テレビをつけて何の気なしにワールドカップの1次リーグ戦を見ている時、表の廊下がギシギシと鳴った。同宿のだれかが廊下を歩いている音だろう。
と思っていると、階段の方から近づいてきたその踏み音が、オレの泊まっている部屋のドアの前でピタッと止まった。
ん?何?おれ?
だが妙な事にノックが無い。今、この部屋の前まで誰か来てるよな…他の部屋への足音だったとして、ドアを開け閉めする音は一切無い。 宿に失礼ながら薄手のチープな作りのドアで、常に部屋から廊下の音がひと聞こえなので、聞き間違えでは無いと思う。
宿のオーナーがオレに用事でもあって訪ねて来たのだろうか。だが、緊急事態ならまだしも、いくら用事があったとしてオーナーがこんな夜中に部屋を訪ねて来るだろうか。それとも強盗?まさかね… クマよけスプレーはクルマに置きっぱなし。不審者に不意に侵入された時に備えて、なんか振り回せるもん無いかと周りを見渡すが、適当な物が無いので椅子とスーツケースをドアの前に置いてバリケードを作る。^^;

その後変わった事は何も起きないので、やっぱり聞き違いかと思いワールドカップを見ていると、午前2時前後?だったか、再び同じ現象に見舞われる。
体中ゾーーーーーーッと鳥肌が立つ。
それ以降は変わった事は無かったが、お陰で一睡も出来ない状態で朝を迎えた。参ったかもだよ…
今朝は、昨日までとは打って変わって無風・快晴。やっと晴れてくれたか。
今日はまず、昨日から行ってみようと決めていた庶野のシトマン川の上流に向かう。昨日、大堰堤まで釣り上がったその更に上に位置するフィールドである。
庶野に入る手前をR336から左に折れて、クルマで直接上流に向かうと、間もなく右手に小渓流が姿を現す。辺り一帯の林は物の見事に伐採され、はげ山の中をチョロチョロと流れる何とも魅力に乏しい沢である。
Googleのストリートビューで下調べした時に画面に映った景色とはまるで違う。

昨日入った下流部は、ヤマメとニジマスのハイブリッドが釣れてしまうほど魚影の濃い川であったが、果たしてここ上流はどうなのか? 大きなフキの生える斜面をかき分けて川に立ち込んだ瞬間、細かい無数の魚がチャラ瀬の中を四方八方にザーーっと逃げまどう光景が目に入った。まるでイワシの大群を見ているようである。未明に引き続いて、ここでも鳥肌が立つ。
なんだこりゃ???
フライを落としてみると、12〜13cmの小さなニジマスがイヤというほど釣れる。入れ食いである。 小さいクセして水面から飛び出してくるヤツも数多く、釣れすぎてまったく面白くない。まるで養鱒場のプールの中にでもいるようである。 どうやら足下を逃げ惑う稚魚は、ほとんどがニジマスとイワナだ。
切りが無いので場所を変えて、もう少し上流へ移動する。
細かい魚の量は相変わらずだが、こちらは木の根が水でえぐられて深場になっている箇所が多く、身を隠せるポイントが点在している。それらの深場からはほぼ100パーセントの確立で尺近い魚が食らいついてくる。 だが、それら大物のほとんどはニジマスで、たまーに尺イワナが混じる。
尺上が釣れると言っても、緊迫感の無い釣りは何がどれだけ釣れても全く面白くないのである。
ここはもういい。川を変える。

シトマン川の隣を流れる咲梅川(咲梅川)に移動。
国道脇にクルマを停めて、小さな堰堤の上から釣り出す。と、いきなり1投目でアメマスが釣れる。なんかヘビみたいに細長くて、ニョロニョロっとした感じだ。サイズは25〜26cmといったところ。
2投目、またおんなじ様なアメマスが釣れる。3投目、また釣れる。4投目も、5投目も6投目も7投目も…
ほとんどバラさない。どの魚もバックリとフライをくわえて放さないから、きれいにフッキングしちゃうのだ。この川も面白くないなぁ…釣れ過ぎちゃって。
惰性で釣り上がって行くと、200m程上流の堰堤下には、いかにも大物が潜んでいそうな深いプールが広がっていた。いい雰囲気だった。 もう雑魚は十分である。そろそろここら辺で40〜50cmくらいの魚つれてくんないかなぁなんて期待を胸に、しばらくこのプールを探る事に。

送り込むフライに次から次へと飛びついてくるのは、相変わらずどれも25〜26cmの同じ様なアメマスばかりで、たまに15cmくらいのエゾイワナが釣れるといった具合。 それにしてもこの川には、いったいどれだけのアメマスが生息しているのだろう。釣っても釣っても釣れる。これだけいるのだから、中には大物だって混じってそうなもんだが、不思議なことに大きいのは釣れない。 時々反応が無くなる時があって、そろそろ釣りきったかと思うが、フライをリトリーブしたりしてアクションをつけると、再びバシャバシャと釣れ出す。
余裕で60匹以上は釣ったと思う。ってかもう飽きた。魚の数にウンザリしながら15時過ぎ納竿。

と、気持ちが釣りから離れた瞬間、夜中に部屋で起きた怪奇現象を思いだして一気に憂鬱になる。
宿へ戻ると正面玄関近くで、オーナーが誰かと立ち話をしていた。部屋を変えてくれとお願いするには今がちょうど良いタイミングだが、 客から「怪奇現象が起きるので部屋を変えてくれ」って懇願されたとき、宿の人はどう思うかなぁなんていらない気遣いしたりして…
そもそも、そういう事象がある事を宿の人は知っているのか、まったく知らないのか?
知らないならそんな事いわれりゃ気分悪くするよなぁ…なんていろんな事をめまぐるしく考えて、結局言えずじまい…

おそるおそる部屋に入ると、床にA4の紙が1枚落ちていた。
来る時、空港のチェックインで使うQRコードを印刷したスキップサービスの用紙だった。 はて?この紙はクリアーファイルに入れて、確か机の上に置いておいたハズだけど。また怪奇現象!?
体中ゾーーーーーーッと鳥肌が立つ。
宿のスタッフが掃除に来た時に落としたとか、いろいろつじつまを合わせようと必死になるが、もう正直冷静ではいられない。 すばやくシャワーを浴びて、一刻も早く部屋を出る。何が食いたいとか、気持ちに余裕がある状態ぢゃないので、手っ取り早く昨日の寿司屋へ。

滞在期間はまだ1週間近くもあるのに、この先どうしよう…
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