[ホーム/渓流遡行ガイド]

イメージ画像
【大笹池】
山梨県・北部(2011年8月23日)
イメージ画像
対象魚 イワナ・アマゴ(たぶん…)
釣果程度 不明
混雑程度
サイズ 不明
放流実績 無し
総合評価 ☆☆☆☆
解禁期間 03月01日〜09月30日
入漁料 年券・¥4,000-/日釣券(前売り)・¥800-/日釣券(現場売り)・¥1,200-
備考 御庵沢の水源。
イメージ画像
イメージ画像
イメージ画像
南アルプスには幻の池が2つ存在する事をご存じだろうか。
1つは、大井川源流東俣の”池ノ沢池”。そしてもう1つが、本編で取り上げる”大笹池”。大笹池は、何時の時期にもハイカーで賑わう甘利山の中腹に位置しながら、 国土地理院の地形図にも山行専門のガイド地図にも載る事が無く、その存在を知る人は少ない。甘利山南斜面からこんこんと湧き出した清水は池の最奥に溢れ出し、その筋は御庵沢(ごあんさわ)となる。 当方はこの2つの池を、北海道3大秘湖ならぬ”南ア2大秘池”と呼んでおり、その幽邃な雰囲気は秘池の表現が似合う。
ここで少々、御庵沢についての釣り情報に触れておくと、御庵沢とは御勅使川(みだいがわ)の支流で、流程6km程度の小渓流である。最下流部はウエストリバーオートキャンプ場の管理下にあり、 ライセンスが無ければ釣りは出来ないのでご注意を。 御庵沢での釣りの核心部は、林道御庵沢小武川線のゲート以遠。ゲート脇から暫く渓伝いに歩き、程なく現れる砂防ダムを越えたその上流から釣り上がる。途中、ナメ床の滝等難所が点在 するものの、どれも巻き跡が付いているので、それをたどれば上流の元滝付近まで遡行は可能。魚種はイワナとアマゴの混在。ちなみに、ゲート横から急下降して渓に降り立つ事も出来るのだが、 前述の砂防ダム以遠でなければ釣果はあまり期待出来ないので念のため。また、ゲートより下流域は堰堤の連続で魚影も少ない。
御庵沢の中流には”元滝”と呼ばれる落差のある滝が名所となっているのだが、正直大した滝では無い……
話を大笹池に戻して。
初めて大笹池で釣りをしたのは6〜7年前。ヤマトイワナの探索で訪れた。悠々と泳ぐいくつもの魚影に興奮しながらキャストを繰り返すのだが全く釣れない。悔しくて翌年も訪れたが、この時も全くダメ。 透明度が高すぎるのか…
そして今回。まず池を眺めて感じた事は、以前に比べて魚影が少ない事。アメンボや湧水のそれとは明らかに違う波紋がところどころで確認出来るので居るには居る様だが目視が難しい。その程度の数である。 すり鉢状の鞍部に貯まって出来た池、故に周りは深い樹林帯で、キャストしようにも覆われた木々にバックスペースが限られ遠投が出来ない。苦労して現地におもむいても釣れない。ロストフライも多く、全く報われない。
本編で紹介するルートは、片道トータル700mの標高差を稼ぐ必要が有り、山歩きに不慣れな方には少々しんどい行程なので、自身の健脚度合いと相談された上で現地に出掛けられる事が望ましい。 今回は渓流遡行というよりも登山色の濃い釣行となっている為、写真中心のルート紹介に終始した。
【ルート】
椹池(さわらいけ)・白鳳荘 → 南甘利山 → 大笹池分岐 → 大笹池 → 大笹池分岐 → 甘利山 → 広河原 → 白鳳荘
イメージ画像
イメージ画像 標高1250mの登山道開始地点。
白鳳荘の横を通り過ぎて直ぐの登山道分岐地点にある作業小屋。作業小屋にしては立派なログハウスが妙に目を引く。
イメージ画像 登山道の取り付き周辺はこんな感じ。
イメージ画像 単調な上りが続く。
ところどころルートファインディングが必要な箇所がある事から、南甘利山へ通じるこのルートは現在はあまり使用されない様に感じる。
イメージ画像 辺りが笹原に変わる。道はしっかりと付いていて歩きやすい。
イメージ画像 南甘利山の稜線に取り付くと、これまで緩やかだった傾斜が角度を増して急登となる。
イメージ画像 ここで1本。
標高1570m地点。時々ガスに覆われ視界が遮られる様になる。雲行きが気がかりに。
イメージ画像 大笹池への分岐。標高約1600m。
これより今までのルートから外れて下降ルートへ乗り換える。池までは約1kmの距離。
イメージ画像 暫くフラットな道が続き
イメージ画像 岩肌の間を進むと
イメージ画像 道は突如急下降する。
自治体もしくは地元山岳会が設置してくれたものなのだろうか。 木の幹に巻き付けられたロープが表皮に食い込んでいる。設置されてからの長い年月を感じる。
グングン下降を続ける。これまで稼いだ標高を無駄遣いしている様で気持ちがすさむ。
イメージ画像 道の前方になにやら白い物体が。
なんじゃこりゃ?道ばたに転がっているのかと思ったら、しっかりと根を張っている様。シロマイタケにも見えるが…キノコはよくわからん……
※後日談
調べたところ「ハナビラタケ」という食用のキノコだった。
イメージ画像 程なく幅広に整備された道になる。
イメージ画像 再び下り返しの上りに。
イメージ画像 道は笹原の中を進む。
イメージ画像 左からの登山道と交わる分岐点。
左の道は最近南アルプス市が通した御庵沢小武川林道に通じる登山道。大笹池は右へ。
イメージ画像 笹原の道が続く。
イメージ画像 右からの脇道を迎え入れて左に進むと、笹原の中から突如湧水をたたえた大笹池が現れる。
標高1480m。
南甘利山のピークから一気に200m近い標高分を下降した。
イメージ画像 大笹池。
湧水が廻りの音を吸収し、シンと静まりかえった池の周りは、有る意味不気味な雰囲気を漂わせている。
イメージ画像 大笹池。
こんこんと清水が湧き出し続ける。サンショウウオやカジカも生息しているらしいが確認には至らなかった。
それにしても釣れない…
まぁ、冷静に考えれば、ここまで水が澄んでいてオマケに障害物が一切無いとくれば、魚の警戒心が強くなるのも当たり前の事かも。
イメージ画像 大笹池。
北海道の豊似湖を彷彿させる風景である。
が、それにしても釣れない…
1時間ほど粘ったが、アタリが無いばかりか魚影すら確認出来ない状態に集中力が途切れて釣りは諦める事に。そうそうに支度を整えて来た道を登り返す。
イメージ画像 再び、南甘利山のピークへ。
目的の釣りは終了したので、一瞬来た道を戻ろうかとも考えたが、ピストンは嫌いなので主峰甘利山の山頂を目指してから、別ルートで椹池まで戻る事に。
イメージ画像 いっそう背丈の高くなった笹原を分け入る様に進む。
イメージ画像 辺りの木々が減って見通しが良くなってきたので、標高は稼いでいるハズだが、ガスっていて状況が把握出来ない。
イメージ画像 振り返って1枚。
イメージ画像 辺りにレンゲツツジの株が目立つ様になると甘利山のピークは近い。
イメージ画像 ここで1本。
イメージ画像 ガスっていて展望はゼロ。
イメージ画像 なだらかな稜線が視界に入ってくると、程なく山頂。
イメージ画像 甘利山山頂。標高1672m。
ここから10分程下って甘利山の駐車場に出た後は、ひたすら車道を下るルートで戻る事に。
イメージ画像 単調な林道歩き。
途中、メス鹿とバンビに遭遇した。
イメージ画像 立ち枯れた木におびただしい数のキノコが…
何これ?食えるんだろうか。山はもう秋の装い。
イメージ画像 甘利山山頂の駐車場より1時間で、椹池・白鳳荘のスタート地点に戻った。
イメージ画像
大笹池の魚影の少なさにはガッカリだった。時間と労力を費やさなければ行く事が許されなかったフィールドには、何時の間にか別ルートの登山道が開かれた。 前述した御庵沢小武川林道に通じるそれである。この登山道が理由で大笹池の魚が減ったと考える事は出来ないだろうか。
学識者の話で、イワナは繁殖能力が高いと聞いた事が有る。確かに、台風や大雨の惨禍で渓が増水被害に合い、見るに堪えない渓相に変わってしまった後にも、 どこから戻って来るのかイワナはいつの間にか再び同じ場所に定着し繁殖を繰り返す。
この事から、私は何時のどんな状況に於いてもキャッチ&リリースを実践しなければならない等と提唱している訳では無いが、イワナの繁殖スピードを超える捕獲は”乱獲”となり、意味が変わってくる。 乱獲はそこに住む生体を残さない。
慎むべき大問題だと思う。
イメージ画像
Copyright 1999 ADAMS Yamanashi JAPAN