[ホーム/"ヤマトイワナ"探釣記]



2000年6月25日 : 釜無川水系 A川 A−1支流



この所、南アルプス水系の源流部に足を運ぶ釣行がパターン化してしまい、毎回ヘツリ・高巻きにひたすら歩き続ける釣行を繰り返してきたので、正直言って疲れて しまった。だからと言ってヤマトイワナの探索を諦めた訳では無い。こんなハードな探釣を毎回繰り返していたのでは身体がマイっちまうのは確実だから、休養と気分転換を兼ねて今回は南アから離れ、 遡行が比較的楽な別のエリアを探釣して見る事にした。
それがこんな結果になろうとは...

ヤマトイワナのフィールドは何処も険しく...

6月25日(日)、夜中の1時半に目を覚ますと外は雨だった。昨日の天気予報でもグズつく話を聞いていたので、差ほどショックを覚える事は無かったが、 それでも雨の中を出掛けるのはツラい。
今日は、午前中からどうしても外せない仕事が待っているので出勤しなければならない。その分、早めに現地へ到着し少しでも長く釣りしちゃおーって魂胆で、出発したのは明け方の2時過ぎ。(^^;
降りしきる雨の中、ヘッドライト目がけてぶつかってくるキャディスの多さに、もしや今日は大爆釣かもしれん!等と無意識のうちに期待してしまう。
いくら日曜日でもこれだけの雨が降る明け方に釣りする人なんて居ないだろうと思いきや、既に、途中の林道・待避所には3台の車が停まっていた。
「おいおい、ほんとかよ...」上には上が居るんだなぁ、と半ば呆れ...ぃゃぃゃ驚きモードで現地着。
「よし、明日はこの沢を水源まで上がって見よう」
昨日、自宅で場所の選定をした時からこう決めていた。直線距離で約3,5Kmくらいだからジグザクにうねってその倍と換算しても7Km。往復で14Kmの行程だと余裕で仕事に間に合う 距離なハズだ。ただ、等高線がだいぶ入り組んでいる地形に手こずらなければいいと思ったが、目の前を流れる渓は結構難儀しそうだった。
「なんだ、これぢゃ南アと変わらんではないか...」
でも冷静に考えれば、どのエリアに分け入ったにしても、昨今ヤマトが棲息出来る渓となれば、おのずと険しい地域で有る事は察しが付く。どこもこんなもんだと思って先を急ごう。

「をを、そーだ、早くせねば!」今日はゆっくり釣り上がってる時間など無いのだ。
ハイブリッドもヤマトのうち?

出発地点から約50分歩いた後、もうそろそろ良い頃かとロッドを出し始めると、早々にイワナがドライに反応を見せる。絶対にバラしちゃいけん!そんな時に限って ヤマトだったりする気がして、目ん玉から血が出る程の勢いで動体視力を使いまくりフライを凝視した。
そんな矢先、#2ロッドがある程度シボりこまれるくらいの魚がヒット(写真左上)し、取り込んでブィックリ!な、な、なんと、ヤマトイワナの特徴である背中の白斑が目立たなく、しかもマダラ模様 が浮き出ているではないかぁ。これはまさしくヤマトとニッコウのハイブリッドと読んで間違いないだろう。って事は、この渓にはヤマトの純血が潜んでいる可能性が非常に高いと言える訳だ。
読みが当たった!読みが当たったゾーッ、やったやったとばかりみなぎる勢いに乗ってガンガン遡行して行くと、その内に背中のマダラが色濃く出ている種を頻繁に釣り上げる (写真右)様になり、この辺りから釣っても差ほど驚かなくなった。
もはや私の気持ちは混血などどうでも良く、早く早く純血ヤマトの雄志に出会いたかった。


遂にヤマトイワナの生息地を発見!
それから約2時間の後、行き着いた分岐点にて「はて、どっちの渓を選ぶべきか」と考えながら打ち込んだ3〜4投目でドライに飛び出してきたソイツは...

稚魚ながらも、ほぼ"ヤマトイワナ"と呼んで間違いの無いその面構え(写真左上)に、ただひたすら感動した。
ここまでの行程は約3時間余りで、先細りの小さな流れになり始めていた頃だった。そして同じ付近にて、またもアダムス・パラシュートに飛び出してきたのは、先ほどのヤマトよりも大きく、マダラが くっきりと綺麗に浮き出た紛れもないヤマトイワナ(写真右上)であった。
暫くの間、コイツを眺め回し写真も撮りまくった。「ようやく見つけた...おまえに出会う為にどれだけ危険な目に遭ってきたことか...」そう考えると感動と同時に ドッと疲れが押し寄せてきた。

これで、我が山梨県に於いても確実にヤマトイワナが生息している渓が有る事を肌で感じた。県内にも生息していると噂には聞いていたものの、実際に南アを中心に探索を続けて見ると、環境悪化が原因し、 どの河川も壊滅的状況に有る為に、今後も探索は手こずるハズだ。
最後に、強いて言わせて貰えば、探索のメインフィールドに考えていた”南アルプス”での釣果ではなかった事が残念と言えば残念だ。それと、今回釣り上げたヤマトイワナは背中と体側にに若干残る白斑が 気になるところ。
これは、成長するにしたがって消えて行くものなのか、それともこのまま成魚になっても残り続けるものなのか、判断に苦しむところだ。