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2000年7月01日 : 釜無川水系 A川 A−2支流



6月25日のヤマトイワナ探釣で棲息筋を見つけ、すっかり気を良くした私は、出勤前と帰りを利用して、この渓に注ぐ流れを片っ端から探索し続けた結果、不思議な事に ハイブリッドを多数釣り上げたあの渓の小筋では魚影すら確認出来ない場所も有り、しばらく悩んでしまった。繋がっているのだから、当然他の筋に散っても良さそうなもんだけどなぁ?ましてや、 滝や堰堤が聳えている訳でも無いのに...
そんな理由で今回は、前回ヤマト釣果があった渓のちょうど東に隣接する別支流に足を運んで見る事にした。

スタートは幸先良かったものの

溜まった仕事を片づける為、本日土曜日も出勤しなければならない。あぁ、こんなに時間が欲しい時に限って仕事だもんなぁ〜と、ゴモクソ文句を垂れながら車に乗り込んだのが 明け方の3時半。予定では、白らみかけた頃から遡行を開始するつもりだったのだが1時間も寝坊してしまった。「ををっ、ちょっとちょっと、何で起こしてくんなかったのぉ?!」筋違いな文句をうちの おかんにぶつけると「何回も起こしたわよっ」と逆ギレされた。
昨日ちょっと飲み過ぎちまったかなぁ...
焦って目的地に到着したのは、もう5時近かった。最近では車から飛び降り着替えを済ませるまでの時間は大体40秒程。もうここまでくると特技と言っても良いかも知れない。(^^;

なにより最初は、この渓に魚がいるのかどうかを確かめなければならないので、入渓早々にロッドを出して見る。と、「ピシャッ」と反応が...
うっ、今のヤな予感、ああゆー出かたはヤマメの特徴だもんなぁ。もしあいつがヤマメだったらおりゃもう帰る、と心に決めてキャストを繰り返した。
「お願いします、ヤマメぢゃ有りません様に!1字違いで有ります様に!」
そうこうしている内にやっとの思いで仕留めて見ると「をを、やったぁ、イワナじゃん!」、しかも型は小さいもののヤマトの血を多く引き継いだハイブリッド(写真左)だ。
今日は”純血GET”いけるかも知れない。気持ちの高ぶりと睡眠不足から、身体がプルプル震えているのが良く判る。


今日は、バイオリズムが悪い日かも...
途中の目欲しいポイントだけを拾い釣りしながら約1時間半の遡行中、度重なる反応にアワセられず結局もう1尾だけをゲットして直瀑2mの滝に行き着いた。 アワセが早過ぎるのだろうか、食いがシブいのだろうか、フックがでかすぎるのか、いずれにせよ、不甲斐なさに半分イラつきながら滝を左から高巻いた。
こんな時は気分転換するに限る。休憩しよう休憩。コーヒーを飲もうと腰に下げたハズの水筒を探すが無い!!!
...落としちゃった...
あれ東急ハンズで1800円も出して買ったんだゾォー。

ヤマトイワナの”黄金色”は本当だった!

林の中に腰掛け、木陰から渓をぼんやり眺める。
それにしても先細りの小さな渓だ。1つ1つの岩が小さいので、辛い遡行を強いられる事無く疲れは感じてなかった。
あと2時間したら戻らなくては。そう気づき再び遡行を開始する。
それから約15分の後、1m程の落ち込みにアダムス・パラシュートを投入した時、全体がオレンジ色の魚が飛び出してきた。もうその時点でヤマトイワナだと直ぐに判った。
なるほど、bluedunさんが”フライに出て来た瞬間からヤマトだと判る程オレンジ色が濃い”と言っていた意味はこういう事だったのか。
難なく取り込み、恐る恐るネットを覗き込むと、そこにはオレンジ色とマダラ模様の魚体が横たわっていた。(トップ写真)
「やったぁ、これぞ正に純血でしょう!」思わずこう発してしまう程嬉しかった。
根が単純なので、この1尾のGETで今までの不運は全部どっかにフッ飛んでしまった。
例の如く、がぜんやる気を出した私は、グングン高度を稼いで遡行した。どうやらあの1尾を釣った辺りからヤマトイワナの生息圏に入った様で、何の疑いも無くフライをくわえ込むここの ヤマト達を目の当たりにすると、人間を知らない事が容易に推測出来た。
その後、約1時間の間に17尾の純血ヤマトを釣り上げ私はトリップ状態に陥ってしまった。

「桃源郷ぢゃぁ〜〜〜、あぅあぅ」
人間とは、わがままな生き物(少なくとも私の場合(^^;)だなぁとつくづく思う。
段々とヤマトイワナの釣果に慣れてくると、今度は尺ヤマトじゃなければ認めない、等と考え始める始末... 物事は、そうそう上手く行かない事を、自分自身が一番良く知っている訳で、 当然”尺ヤマト”など釣れるハズも無かった。
しかしながら、見て頂きたい、そして感じて頂きたい、本日の釣果を!


我が山梨県には、こんなにも元気で素晴らしいヤマトイワナが、まだ棲息してましたぞ!


#そろそろ南アルプスの渓にもどんなきゃ