[ホーム/"ヤマトイワナ"探釣記]



2000年9月24日 : 釜無川水系 A川 A−2支流



シーズンオフ間近の9月下旬、禁漁期に入る前に、どうしても調べておきたい渓が有った。
場所は、当コーナーでもご紹介した7月1日の釜無川同山岳渓流部。この時は、念願だったヤマトイワナ探釣が成功し、時間的余裕も無かった理由で、更に先に聳える滝の上流は確認しなかった。
あの上にも生息圏が有るかも知れないと今日まで考えて来ただけに、このままオフシーズンに入って、探索が可能になる来年6月までの9ヶ月間モヤモヤ状態が続けば、絶対に後悔するハズだ。 9月30日(土)も避けられない仕事が入っているので釣りには行けないし、どう考えても平日に休暇を取れる程ヒマも無い...ぢゃ今日行かなきゃダメぢゃん!
善は急げ...ぃゃ、思い立ったが吉日で、布団から飛び出ると10分後には車に飛び乗っていた。

あの集中豪雨下でも生き続ける生命力

もう間もなく現地に到着という時に、手元の携帯がビービーと鳴りやがる。
「あっ、もしもし、朝早くにすみません、○○ですが、昨日の夜からプリンターサーバーの調子がおかしくて印刷出来ないんですよぅ」
じゃかーしーわぃ、印刷出来ないんなら手で書け、ドアホ!  ったくもう、休みの日までこれだもんなぁ...
携帯の電源を切りながら、今日は絶対に仕事しないぞーと心に誓うのであった。

案の定、先日東海地方を中心に襲った集中豪雨の影響は、ここにも爪痕を残している。脇に生
える木々が下流に倒されている光景から、この地区もよほど凄い豪雨に祟られた様だ。あいつら(ヤマト)下流に流されちゃったんぢゃあるまいかとの不安が頭をよぎる。 前回丁寧に釣り上がった流れを叩き釣りの要領で探りながら先を急ぐ。今日の目的は更に上流なので、のんびり釣り上がっている時間が無いのだ。とは言うものの、豪雨によって 生息域が変わってないか、他の釣り人に根こそぎ持ち帰られてないか、等々、イヤな事ばかりを考えてしまい、気づくと丹念にポイントを探っている自分がそこに居る。
3時間後、いよいよ7月に見つけ出したヤマトイワナの生息圏に入る。先の不安とは裏腹に、水温13度、気温16度の環境下に於いて、疑いを知らないヤマトイワナ達は、次々にアダムス・パラシュート に飛び出してきてくれた。
どうやら、この辺りは場が荒らされる事も無く、ヤマトは健在な様だ。うれちー!
前方のポイントにフライを落とす。っと、横からスーっと現れた魚体は、ゆっくりとアダムスをくわえ、これまたゆっくりと反転して水中に潜って行く。 そんで私もゆっくりとアワセを入れると、いきなりもがき出した魚信がロッドの先に伝わる...説明するなら、ここでの釣りはこんな感じだ。
こいつらばっかり相手してたら、すんごい釣りがヘタになるだろうなぁ...


前回の爆釣体験、再び...

そうこうしている内に目的の滝が見えて来た。この滝下までの釣果は、大小合わせて16尾也。
見上げると、差ほど高いとは感じない。両サイドどちらを使っても巻ける様だが、斜面の緩い左崖を登る事にした。途中、右足を岩の間に挟み、悪戦苦闘の末に引っ張り出す。
直後、倒木に足を滑らせて、ブッコケた拍子に、右腕をベロッと擦り剥いた。ヒーヒー言いながら、なんとか上に這い上がったものの、なにより心配したのは、 遠路こんなとこまで来て、代えのロッドを持って無い(普通持たない)以上、折ったが最後、今シーズン最後のヤマト探索を諦めなければならない事だった。
慌ててロッドを確認すると、無傷に安堵でホッと胸を撫で下ろす。 滝の上に出てすぐに、缶カラなんて落っこってねーだろーなぁと、辺りを確認するがゴミ1つ落ちていない。人が入った形跡も無いから、もしかするともしかするかも 知れないと、期待と不安で不整脈になりそうだった。
震える手でロッドを振りながら先を進む事数分後、小さな反応がアダムス・パラシュートに出た。
「をーーー、居るぢゃん、居るぢゃんっ!」
が、しかし、ここで期待してはいけない。経験上、さんざん興奮させておいて、釣り上げたら"ヤマメ"だったって事が度々有った以上、ちゃんとネットの中を覗いて、よーく見た結果、 ヤマトだったらその時初めて喜ぼうと思った。

そんな心配も裏腹に、渓に覆い被さるプッシュを越えて、先のポイントに出た辺りから、なんと下流同様にバシバシとヤマトイワナが釣れ出したのである。
それから約2時間半をかけて、この渓の水源と思われる付近まで遡行した結果、400〜500m程手前の小さなプールで釣った子ヤマトが最後の釣果となった。(写真右)

これにて、7月から持ち続けていたわだかまりも消え、すっきりした気持ちでシーズンオフを迎えられそうだ。

本レポートを最後に、今シーズンのヤマト探索は、ひとまず終了とさせて頂く。
来シーズンも、なんとか納得出来る結果を残し、最終的には南アルプス、ひいては山梨県全域に生息するヤマトイワナの生息分布図と、河川別・個体別のデータベース作成に拍車を掛けたい。

ヤマトイワナ探釣のレポートをアップする度に、沢山の祝メールをお送り下さった方々へ、また、かかさず当コーナーにアクセスして下さった方々へ、この場を借りてお礼を申し上げたく思う。