北海道行き当たりばっ旅 2021夏
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7月9日(16日目)
【音威子府(おといねっぷ)から天塩川を望む】
必要に迫られ、午前中はクルマにこもりパソコンに向かう。

思い起こせば学生の頃、ヒッチハイクで訪れた中頓別は、それはそれは何も無い町だった。中頓別までなら乗せてやると言われたのか、中頓別で自分からクルマを降りたのか… その辺りの記憶は今となっては曖昧だが、いずれにせよ目的を決めて来たのでは無く、成り行きだった。
前泊したユースホステルの朝飯に出された食パンをかじりながら町をうろつき、宿泊代をケチりほったて小屋のバス停で一晩過ごしたエピソード。
当時を懐かしく思って町の中を巡ってみたが、今となっては停まったバス停の場所なんて記憶に無いし、バスターミナルに化けてしまった国鉄の駅も、町の大半は砂利道だったあの頃の雰囲気も、何もかもが変わってしまったよう。

昼前に移動開始。
今日はこれから朱鞠内湖(しゅまりないこ)に向かう。
ここ中頓別からは100kmくらいだから、1時間少々の道のりってところだろうか。こんなに近いのではあまりにも早く着き過ぎるので、道中、釣りポイントを探しながら移動する事にした。
国道40号を並行する天塩川は、いつどこから見ても茶色く濁った川だ。大きなニジマスが釣れるらしいがオレはパス。

【美深駅】
途中、美深駅の観光案内板を眺めると、この周辺に「松山湿原」「天竜沼」「仁宇布の滝」なる景勝地があるようだ。美深からは東へ30km。そんなに遠い距離では無い。 まぁ "湿原" と "沼" の文字が "茶色" を連想させるが、ひとまずどれも水に関連するスポットなので、好釣り場を期待して寄り道して見ることに。
道道49号と平行するペンケニウプ川は、どこまでも浅いチャラ瀬が続く川。案の定、泥臭ーい雰囲気なので釣りはパス。 トロッコ王国なるアミューズメント施設を右折すると、ペンケニウプ川の支流・二十五線川と並行する。この川もウグイしか釣れないような雰囲気の川。パス…
パスパス言っているうちに、湿原の天竜沼に着いてしまった…。案内板には、その昔この沼にヒメマスの稚魚を放流したが成長せずその原因は不明…と書かれている。へー。 どっちにしたって、こんな小さな水たまりみたいなドロ沼でキャスティングなんてしない。パス。
沼の脇の駐車場にはキツネが1匹、クルマの近くに寄ってきてジッとこっちを見ていた。7月5日に泊まった置戸のキャンプ場でキツネにメシをパクられた事を思い出す。シッッシッ!
これと言って成果もないまま来た道を戻る。

【仁宇布の冷水】
途中「仁宇布の冷水」と看板が目に入り湧水地へ寄ってみる。「夏季でも6度の美味しい水!!」なんだそうな。このところの先入観で、 道北は湧き水まで茶色いんぢゃないか?とまで思っていたので、まぁ確かに涼やかに岩肌から湧き出す水は冷たーーく透き通った湧き水だった。美味いけどビールの方がいいな。
この湧水地の横には雨霧の滝なる景勝地があって、駐車場脇に滝からの小さな流れが続いている。どんなもんだろうと思い、脇のあぜ道から直接キャスティング。残念ながら何の反応も無し。

【ペンケニウプ川】
とにかく道北地域は、どの川も茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い茶色い…
どこもかしこも茶色茶色茶色茶色茶色…ドロ臭くて茶っ茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶茶…
あー茶色いっ……
もういい加減イヤ気がさしてきて、一刻も早く道北から脱出すべし、との思いが強くなってきた。

北海道では、ルートの大半は人っ気のない原野や山間部を走り続ける事になるので、たまにフワっと集落が現れたりすると、人恋しさが手伝って何となくホッとするのだ。 それだけに、名寄市に入ると3階建て程度の建物がビルの乱立に見えて、久々に大きな街だなぁと感じてしまう。
市街地に入ると一気に気温が上がった。30度。北見同様、盆地特有の気候がお出迎えしてくれた。

【朱鞠内湖】
16時、朱鞠内湖のキャンプ場着。
確かに景観は素晴らしい。ゆるい丘陵地帯に水を張った湖はその全てがなだらかで一切険しさは無い。その優しい趣はカナダ・カムループスの湖にそっくりだ。
現地にはルーンという水鳥がいて、オオカミそっくりな鳴き声を発するので、知らない人は大いに勘違いする。そんな光景が蘇ってきた。家族でキャンプに来るなら最高な場所だと思う。
一方、釣り人の視点で見ると、フィールドは細部にまで厳重に立ち入り禁止区域が設定され、湖に注ぎ込む支流の一切にも入渓が許されない。ボートは出せるがキャンプサイトの一区画しか釣りが許可されてないのだ。
ライセンス料を払ってまで釣りするか?オレはパスだな…

とにかく道北はもうウンザリ。この茶色い水が夢に出てきそうだ。
明朝は早くにここを脱出しよう。

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