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【保川・中流部】 (6月) 山梨県・西部

対象魚 ヤマメ・イワナ
釣果程度 ☆☆☆☆
混雑程度
サイズ ☆☆☆
放流実績 無し
総合評価 ☆☆☆☆
解禁期間 3月16日〜9月30日
入漁料 日釣券(前売り)・¥800-/日釣券(現場売り)・¥1,200-/年券・¥4,000-
備考 このページでは、前回ご紹介した保川・第4堰堤以遠をご紹介する。保川の詳細については、渓流遡行ガイドの”保川(5月)” を参照して頂きたい。
参考 天候及びフィールド状況 → 午前5時入渓時点で晴れ無風
                  気温、水温共に未計測(そんな余裕無し)

使用タックル →        ロッド・#3 SAGE SP389
                  ライン・#3
                  リーダー・クライマックス5X
                  ティペット・クライマックス5X
                  使用フライ・#12オリーブアダムス
                         (パラシュートパターン)

第4堰堤以遠も魚の楽園であった。
5月に紹介した”保川・下流部”での70尾釣果には及ぶものでは無かったが、退屈をしない程度の釣果(39尾)に、良しとしなければなるまいか。
と言うのは、釣れたのは全てがヤマメだったからだ。上流に生息しているであろうイワナを釣り上げ、この目でその姿を確認するのが目的だった今回の釣行は、何とも後味が悪く、煮え切りの悪い 結果となってしまった。

第4堰堤が出現し、釣り人を上流に向かわせる行為を拒み続けてもう3年以上の歳月が流れた。以来これより先を目指す者は、根性の座った先鋭的な渓流マンに限られる事からも、入渓の難しさと 大きな危険を伴う釣行が容易に伺い知れる。
思えば、5月に保川を紹介してから早1ヶ月以上が経つ間に、実は”保川・源流遡行”に2回挑んでいた。いずれも本流への下降に失敗し、ことごとく入渓を拒絶されてしまった。今回はその 2回の教訓を元に、念入りに事前調査を行った上での3度目の挑戦となった訳だ。
2度目のトライでは、小沢に掛かる吊り橋の分岐点を左に下った獣道で、足を踏み外し下の川まで滑落する事故を引き起こした。幸いかすり傷と右足首を痛めただけで済んだ為、自力で登山道まで 這い上がる事が出来、不幸中の幸いであった。打ち所が悪かったらと考えるとゾッとする。数年前の話になるが、インターネット上である山岳会の代表が、ここ保川にて滑落事後で亡くなられた 事を知った。ご冥福をお祈りする。
とかく事故というものは、緊張感に包まれている時には起こらないものだ。ふと気が抜けた瞬間に襲って来る。自分の場合、毎度の事ながら単独遡行で有るが故、この緊張感が持続出来なくなった時が、源流遡行を止める時だと考える。
改めて、何故こんなに危険なエントリーになるかをご説明しておくと、予算の関係からか、それまで町が管理していた登山道は4年に渡ってメンテナンスがされなくなってしまった。その結果、 本来有るべき道は崖崩れと風化によりガタガタズタズタで、現在ではとても利用出来る状況に無い。つまり、道無き道を下降するしか手はないのだ。
前回この登山道で上流にエントリーしたのは今から3年前の夏、この時も絶壁に近い獣道を這い蹲って先に進んだ記憶が有り「これほんとに登山道か?」と疑わざるを得ない状況にあったが、 今回はそれ以上に凄まじく、3本ネジリ滝へ向かうルートと石室まで迂回するルートの分岐点も見落としてしまう程の有様だった。

以下は、6月20日の釣行レポート。

「上流から第4堰堤を望む」

梅雨の中休みに見せてくれた久しぶりの太陽。
この日、タイミング良く休暇が取れた為、ラッキーと言えばそう言えなくもないが、何しろここ数日に渡って降り続いた雨が影響して水量の多いこと多いこと...
車止めから直ぐに渡る事になる川道で、足を取られそうになる程の流れに、これから先、容易に遡行を許して貰えるかと考えれば、おのずと緊張せずにはいられなかった。
「下降地点から上流を望む」

以遠の渓相は、下流の第4堰堤までを女性的と表現するなら、上流は男性的と表現するにふさわしく、いきなり大淵と滝の連瀑帯に変貌する。流れは太く重たい。

昨日、仕事の帰りに店に寄りクマ避けのスズを¥4,500-で購入した。これまで使用していた¥1,000-と¥500-の物は、以前から頼りなく感じていた為だ。何故か、値段が高いと 効き目が有る様に感じて、妙に心強くなるから不思議だ。
「下降から約1時間半地点の渓相」

とにかく、本来有るべきポイントが無くなる程の水量と水速に攻めきれない釣りが続く。
深みの徒渉を余儀なくされる際、川に入ると両型が走り出す姿を多々確認しているので魚影はすこぶる濃いのだが、なぜかドライフライに出てくるのは 小型のものばかりで、首を傾げる事多数。
「更に約2時間地点の渓相」

ご覧の通り、深場が点在し、やむなく左右の崖を高巻くこと数知れず。そんな高巻きの最中、頭上付近で
「バサバサッ!」「キッキッ、ギャー」との叫び声が聞こえ、驚いて見上げるとサルの一団が私を威嚇、警戒しているようであった。
自分たちのテリトリーに進入したよそ者を攻撃する機会を狙っていたのか、単に興味本位でついて来たのかは定かではないが、その後1時間近くに渡って、私に付きまとってくる事となった。 正直気分の良いものではない。
この様に山でサルの集団に出会ってしまった場合は、絶対に目を合わせない事。


「更に約2時間半地点の渋沢出会い付近・写真上下共に同場所」(写真上は風化した登山道)

度重なるヤマメの釣果にいささかながらイヤケが差し始めたので、気分を変える為に小休止とした。
たばこに火を付けた時、「ん...?くっせ〜、何この臭い!」
それは考えるまでもなく、明らかに風上からそよ風に乗って来る獣臭に違いなかった。「やばい、近くに何かが居る」そう直感し一気に緊張感が高まった時には、4,500円のスズを全身 バイブレーターの如く振るわせて鳴らしまくった。その間おおよそ2〜3分。万が一に備え、足に装着していたナタを抜いて辺りの気配に神経を集中させたが変化は無かった。
単独遡行である為に、山で事故を起こす事だけは絶対に避けなくてはならない。ましてや今の状況は、風下に自分が位置している為に、相手は私に気づいていない可能性も否定出来ない。 こういったパターン下では、こちらが最善の注意を払わなければ事故を起こす確率が高くなってしまう。

それまで維持していた釣りに対する集中力は皆無となり、この時点で今回の遡行は中止する事とした。本来の予定で有れば、先に1時間も進めば美代喜沢との出会いに到達出来るハズだから、 それ以遠で期待していたイワナの釣果を考えると、とても残念だが仕方がない。

5年も6年も前の話になるので記憶が定かではないが、以前に保川の源流近くまで遡行した時の事を思い出すと、本谷に入る辺りから再び連瀑帯になり、遡行に相当の体力を消耗するので、 源流部まで詰める場合、日帰り遡行はまず無理と考えた方が良い。釣行計画は念入りに!